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第28回岐阜県作業療法学会
テーマ: 飛騨市発(初)!〜求められた役割〜
市民公開講座

講師
飛騨市市長
都竹 淳也 氏
テーマ:
子どもの強みを伸ばし、家族に寄り添う
~飛騨市における学校・社会作業療法の実践~

飛騨市では、令和4年度から「学校作業療法」の取組みを行っている。市内小中学校に作業療法室を配し、NPO法人はびりすの作業療法士がすべての小中学校に月2回定期訪問し、すべてのこどもたちを対象に、学校という生活現場・生活環境の中で、困難があっても自身で乗り越えられる力を育もうとするものだ。
対象となる児童生徒を限定せず、全ての子どもたちを支援していくことに特徴がある。ここでは、なりたい自分を実現するための「作戦」を立て、作業療法士がその実践と改善のサポートをしていく「CO-OP」という手法を活用しており、教員に代わってその子に合った環境調整や具体の支援を行うと共に、教員の支援スキル向上にも専門的なサポートをしている。「作戦マン」と称して、子どもたちの相談に乗り、作業療法の観点からアドバイスを行う。教室の配置を変えたり、子どもに合わせた道具の使い方を提案するなどの活動もしている。これによって、子どもへの対応に悩んでいた教師や自分の思うようにならず落ち込んでいた子どもたちから、助かった、うれしかったと高い評価の声を得ている。
この取り組みは、もともと発達支援センターの活動から生まれた。発達や対人関係などに課題がある子どもたちを支援する中で、作業療法士たちの高い能力を活かし、子どもたちの強みに着目して見方を変え、将来の伸びる姿を家族と共有することで心豊かな毎日を送る手助けをするという実践を重ねていった。さらに、子どもたちの問題は子ども時代だけにとどまらず、長い人生に及ぶものだという考えから、市民のあらゆる困りごとの相談に乗り、多くの関係機関と共に支援を行う「地域生活安心支援センターふらっと」へと発展し、現在は乳幼児から高齢者まで全ての市民を対象にしている。ここでも中核となっているのは作業療法士の活躍である。家族丸ごと救われたという声も多く聞く。
飛騨市が作業療法士と連携している所以は、一人ひとりのバイオ・サイコ・ソーシャルにトータルに関われる専門家であると位置付けているからである。家庭へも学校へもどこへでも入ることができ、ウエルビーイングを高めることができる能力は、複雑さを極める現代社会が強く求められているものだ。令和7年度は、学校作業療法を担うことができる人材育成プロジェクトにも着手する。現場で実践を重ねながら、社会作業療法の理論も学ぶプログラムだ。小さな町ならではのフットワークを活かし、全国のモデルと作っていきたい。
経歴:
平成元年:筑波大学卒業後岐阜県庁入庁
平成7年:自治体国際化協会シンガポール事務所長補佐
平成13年~17年:知事秘書などを歴任
平成28年~:飛騨市長就任(3期目)